◇◆  モ テ モ テ の 真 実  ◆◇◆

 

 

「透子ちゃん発見!お願い、かくまって」

「ええ?ちょっと……」

 

語尾にハートマーク付きでそんなことを言うなり、教室から出ようとしていた透子を強引に中へ戻らせて、琉夏はピシャリとドアを閉めるとそのまましゃがみ込んだ。
軽く上がった息を整えている様子にピンと来て透子は溜息をつく。

 

「もう、また追いかけられてるの?」

「そう。しつこいのなんの」

「そんなこと言って……琉夏くん達が悪いんでしょう?何したの、また黒板消し落としたとか?」

 

童顔の担任を思い出してそう言うと、琉夏はきょとんとしてから小さく笑った。

 

「大迫ちゃんだったらもっとラクなんだけどね。なんか女子がさ、文化祭一緒に回ろ!って。気が早いよなぁ」

「ああ、なるほど……」

 

11月に入ってからでは遅いと思ったのだろう。
もう行動に移したとは。たしかに気が早い。

やれやれと溜息を吐く琉夏を見下ろすと、ややあってその幼馴染は不思議そうに首を傾げた。

 

「何、どした?」

「何というか……そういえば聞いたことなかったなぁと思ってたんだけど」

「うん?いいよ、なんでも聞いて?」

 

甘やかすような声で促されて、透子はそれじゃあと口を開く。

 

「琉夏くんそんなにモテるんだから、彼女くらいいないの?」

「………彼女ねぇ」

 

なんだか意味深にそう言って、琉夏がチラリと上目遣いに透子を見上げた。

―――――その時だ。

ガラリと教室の後ろのドアが開いて、鋭い女子の声が飛ぶ。

 

「ルカくんいた!!」

「おっと、見つかっちゃった」

 

すっくと立ち上がるなり窓へ駆け寄り、ステンレスのサッシに手を掛けた。

 

「琉夏くん!」

「とうっ!」

 

止める間もあらばこそ、言うが早いか短い掛け声とともに二階の教室の窓から飛び降りた琉夏は無事に着地し、窓から
身を乗り出していた透子にのんきに手を振ると、すぐにまたどこかへと走っていく。

 

「もう……危ないって言ってるのに」

 

元気に掛けていく後ろ姿を見送って、透子はそう呟くと溜息を吐いた。

 

 

 

なんにも気にせずに2階と書いたんですが、そういえば例の腹チラ飛び降りイベントは3階でしたね。
1年で3階だからあれか。2年だと2階かな。ちなみにウチの高校は1年時は5階でした。さすがに死ぬな……。

ええと、とりあえずバンビちゃんは鈍感だということでひとつ。