◇◆ 放 課 後 デ ー ト は ま だ 遠 い ◆◇◆
放課後のチャイムが鳴り響き、校門前は下校する生徒が賑やかに行き交っていた。
「オマエ今日いつも通りか?」
「うん、多分ね。シフト通常だったし」
「そんじゃ俺が取ってくるか」
そう言う琥一に、学校から少し離れた場所にこっそり停めているSR400のキーを渡そうと琉夏がポケットに手を突っ込んだ時―――――。
「コウくん、琉夏くん!2人とも今帰り?」
「透子ちゃん」
「おう。なんだ、今日は部活ねぇのか?」
「うん、お休み。よかったら一緒に帰らない?」
素直に頷いて屈託なく誘ってきた幼馴染に揃ってうんと頷きかけて、だがすぐに兄弟は乗ってきた愛車の存在を思い出した。
「ああ、俺はいいぜ。今日はルカとちがってバイトもねぇしな」
「俺は平気。バイトまでまだ時間あるから。コウは帰ったら洗車するから早く帰るって言ってたけど」
それぞれに放った互いの言葉に、一瞬、琥一と琉夏は視線を交わす。
どちらも嘘は言っていないが、双方乗ってきたバイクをお互いに持って帰らせようという魂胆は見え見えだ。
けれど2人の会話に決着がつく前に透子は何かを察したらしい。
「あ、ゴメン。今日バイクだったんだ?じゃあ一緒に帰るのは無理だね」
「いやそんなこと―――」
「―――バンビ」
「ミヨ!ちょうど良かった。ね、一緒に帰ろう?」
「……お茶にする?」
「それいいかも。じゃあ2人とも、気をつけて帰ってね。安全第一だよ!」
計ったようなタイミングでその場を通りかかったミヨの誘いにあっさり頷くと、透子は笑顔で琥一と琉夏に手を振って背を向けた。
ただただ見送る二人の視線の先では、小柄な親友とくっつきながら楽しそうに駅前へ歩いていく幼馴染の背中がだんだんと小さくなっていく。
「……コウのせいだ。バイトだって言うから」
「あのな。今朝寝坊したのはテメーだろ。大体オマエが洗車とか言うから……………ハァ、いいからキー貸せ」
「あいよ。ちぇっ、放課後デート……」
「あきらめろ。つーかまず寝坊すんな」
「……へーい。ちぇっ、ミヨちゃんいいなー」
キーを渡すとすぐに歩き出した兄の背後で、チラリと反対方向に向かった透子の後ろ姿を振り返り、琉夏は未練がましくそう呟いて一つ溜息を吐いた。
桜井兄弟との仲良し三角関係がものすごく好きなんですが
同じくらい仲の良いキューティー3も大好きです。ミヨちゃんかわいい!!